パワハラ110番

男性社員が職場いじめのターゲットになるとき

いじめのターゲットになるのは必ずしも女性ばかりではありません。男性だからといって、安心していられません。男性社員も職場でいじめられることがあります。私は学生時代、マンション管理会社でアルバイトをしていました。マンションの共同スペースの公共料金の領収書を整理・ファイリングする仕事でした。

 

その会社にもいじめがありました。平社員の若い女性たちに、こともあろうかその部署の長である「部長」がいじめられていたのです。部長は女子社員から冷たく扱われていました。たとえば、部長が女子社員にコピーを頼んでも、「なんで私がやらなければならないのですか。私だって自分の仕事で忙しいんです。コピーなんてできません」とつき返す始末。職務放棄と受け取られても仕方がないような言動に対し、部長はただしょんぼりと立ち尽くすのみ。それを見た課長が飛んできて、部長のコピーを手伝っていました。

 

部長は、いつも申し訳なそうに自席で小さくなっていました。たとえ女子社員たちが部長にどんな態度をとっても、周囲の男性社員たちも咎めません。彼女たちの機嫌を損ねると、自分に火の粉が飛んでくることは明らかだからです。女子社員たちが部長をいじめる原因の一つは、部長が「空気が読めない」ことのようです。

 

たとえば、こんなことがありました。その会社では年末に忘年会を開くのが恒例でした。その年の会場は、女子社員たちの希望でその近辺では有名な焼肉屋に決まりました。焼肉食べ放題に若い女子社員たちの気持ちは浮き立ちます。幹事の男性社員が部長の席に赴き、忘年会のメニューが焼肉に決まったことを報告しました。すると、部長は一言「焼肉かぁ。あんまり好きじゃないな。僕はもっとあっさりしたものがいいのだが」と呟いたのです。幹事としては部長の意見を無視するわけにはいきません。結局、会場は和食屋に変更となりした。もちろん、女性社員たちからはブーイングの嵐です。「また部長のせいで」と叫ぶ女子社員の声が、私の席にまで飛んできました。部長の席は少し離れてはいますが、おそらく部長の耳にも入ったことでしょう。

 

結局、男性社員たちがなんとか彼女たちを宥めて、焼肉店には別の日に内輪でつれていくということで機嫌をとっていました。食べ物の恨みは恐ろしいですね。男性社員は、女子社員の空気を敏感に察知し、彼女たちの反感を買わないように注意しなければ、この部長のようなケースに陥るはめになるかもしれません。

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