会社いじめで生じる人間不信
会社でいじめをうけている間、人間不信になるような出来事がいくつもありました。それまで私に対して親切にしてくれていた人が急に冷たくなったり、上司に対してさんざん陰口を言い続けていたのに、いざその上司が異動になることを知ると、上司の前で涙を流して別れを惜しむ同僚の姿を見たりしたからです。
こんなこともありました。私がまだ辛うじてグループの中に身を置いているときのことです。当時は、昼休みになると、同僚たちと休憩所のテーブルを囲み、一緒にご飯を食べていました。食べている途中、新しいお茶を淹れに行くため、一人の同僚が席を外しました。彼女が席を外した途端、そのテーブルで、彼女がしでかした仕事のミスについての悪口が始まったのです。お茶を淹れ終わった彼女が戻ってくると、何事もなかったかのように悪口は止まりました。さっきまですごい勢いで悪口を言っていたのに、皆が彼女に対して和やかに接しています。この変わり身には驚きました。こんなことは一度や二度ではなかったため、会社の人たちにおける私の不信感は強まる一方でした。そして、私のいない場所では、私の悪口が言われているに違いないと確信していました。
また、こんなこともありました。会社のいじめで悩んでいたとき、信頼していた同僚に悩みを打ち明けたことがあります。私の悪口を言っている人についてどう接したらよいか意見を求めると、こんな返答がありました。「あの人はグループのボス的存在だから、仲良くしておいたほうがいいよ」同僚は私と親しくする一方で、私をいじめているグループとも食事に行ったり飲み会をしたりと親交がありました。同僚の話の端々から察するに、食事会のときは私の悪口がよく交わされていたようです。
同僚は、そのグループとプライベートで付き合いたくない様子でした。飲み会や食事会にも嫌々付き合っている様子です。私に気をつかって「嫌だ」と言っているのではなく、表情や言動からも本当に嫌な様子でした。「行っても、人の噂や悪口ばっかりだし」とこぼしていました。では、なぜ付き合いをやめないのか。怖いからです。仲間から外れることで、自分がいじめの標的になるのが怖いのです。そんな付き合い方でよいのか疑問です。離れたらいついじめられるかわからない、そんな輪の中で疑心暗鬼になっていても、人間不信を強めるばかりではないでしょうか。
私は、その会社に入ってから、初めて人間不信を感じました。人間って、愛からではなく、恐怖から人と付き合うことがあるのだとわかりました。こんな人間関係で、創造的な仕事なんてできないのではないかという疑問を拭い去ることができませんでした。
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