パワハラ110番

“パワハラ”は日本で生まれた和製英語!

パワハラは、ご存知の通り「Power Harassment」の略。
一見、海外で生まれた言葉のように思えますよね。
しかし、実はこの言葉、日本で生まれた“和製英語”なんです。

 

2002年に、株式会社クオレ・シー・キューブ代表の岡田康子氏が造った言葉です。

 

「じゃあ、海外の会社にはパワハラって存在しないの?」
…と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

 

わざわざ日本人が新たに単語を造ったくらいですから、
もともと海外にはパワハラに相当する行為自体がはいのでは…?
…そう思うのも無理はありません。

 

しかし、実際は海外でも、いわゆるパワハラに相当する
“職場いじめ”のトラブルは多発しています。
日本以上に“実力主義”が基本の海外企業。
ノルマを達成できなかった部下を精神的に追い詰める…
といった形のパワハラが横行するのは容易に想像がつきますよね。

海外の職場いじめは、ネーミングが違う

仕事上の権力を盾に、不愉快な言動で他人を愚弄する“パワハラ”。
日本ではすっかりおなじみおこの単語ですが、
海外では別のネーミングがつけられているんです。
例えば…

 

★アメリカ
・モビング(mobbing) 訳:群れをなして襲う。群がり集まる
・ブリング(bulling) 訳:いじめ(主に子どものいじめを表します。
・スピッティング(spitting) 訳:つばを吐く。軽蔑の言葉を吐く。

 

★フランス
・モラル・ハラスメント(moral harassment) 訳:心理的な嫌がらせ。

 

 

モビング(mobbing)という言葉の名付け親は、スウェーデンのハインツ・レイマン博士。
Mobbing=動物が群れをなして獲物を襲う行為を意味しているところから転じて、
職場での集団的な暴力行為やイジメを表しているんです。

 

また、モラル・ハラスメント(moral harassment)という言葉の作者は、
フランスのマリー=フランス・イルゴイエンヌ博士。
今では日本でもよく耳にするようになりましたよね。

 

職場におけるいじめ=パワハラは海外でも問題となっており、
最初に法制化されたのはスウェーデン。
「職場での虐待に関する規則」という法令が1993年に規定されています。

 

フランスでも、2002年に「労使関係近代化法」が公布されました。

 

日本でも、一日も早いパワハラ規制法の制定が望まれます。

外資系企業でのパワハラ〜2010年プラダジャパンの例〜

日本のみならず、海外でも問題になっているパワハラ。
海外から日本に進出している外資系企業でも、
パワハラ裁判を起こされた企業があります。

 

その一例が、プラダ
そう、『プラダを着た悪魔』でおなじみの、有名ブランドです。

 

訴えを起こしたのは、36歳の日本人女性。
部長職に就いていた彼女は、
「もっと痩せろ」
「髪型を変えろ」
「あなたは醜い」
…などと容姿に関する嫌がらせを受けていたのだとか。

 

会社に訴えたところ、一方的に解雇されてしまったのだそうです。

 

しかも、被害に遭った従業員は彼女1人ではなく10数名にのぼるそうで…。
どうやら、恒常的にパワハラが行われていたようですね。

 

プラダと言えば、海外でも大人気のブランド。
担当者は「人員削減のための方策だった」と主張しているそうですが、
従業員との間に裁判沙汰を起こすことは会社にとって何のメリットもありません。

 

企業のブランドにも傷をつけるだけですからね…。