“パワハラ”と言っても様々…
「アイツ、本当にムカつく!」
どんなパワハラも、最初はこんな風に
愚痴ればスッキリする程度のものから始まります。
しかし、次第に相手を見るだけで気持ちや身体が委縮するようになり、
徐々に会社に行くのも嫌になって…。
やがて休職や転職に追い込まれてしまうのです。
(もちろん、断固として戦っている人もいますが)
自分が悪いわけではないのに、結果として、
被害者であるハズの自分だけが不利な状況に立たされ、
加害者である相手はのうのうとまた次のターゲットを見つけて
パワハラ行為を繰り返す…。
そう考えると、どうしようもなく相手が憎く思えてきませんか?
「いっそ、告訴してやりたい!」
と思ったことがある方も少なくないでしょう。
しかし、結論から言うと、
パワハラを刑事告訴するにはよほどの強い覚悟が必要です。
そもそも、パワハラ行為の全てが刑法上の犯罪に当たるわけではないため、
立証すること自体が難しいのです。
しかも、刑事告訴の場合の立証の程度は、
民事訴訟(民法上の犯罪に関する訴訟)と比べると格段にシビア。
専門家の協力ナシには戦うのは難しいと思ったほうが良いでしょう。
刑法に触れるパワハラ行為@
パワハラを刑事告訴するにはかなりの覚悟が必要であることは
すでに述べた通り。
しかし、無理だというわけではありません。
刑法に抵触するパワハラ行為もあります。
ここでは、刑法に触れるパワハラ行為の具体例をご紹介します。
●【名誉毀損罪(刑法第230条)】
⇒3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金。
第三者がいる公然の場で、特定の人を誹謗中傷する内容の文書を掲示、
配布した場合。
または、インターネットの掲示板に書き込みをした場合。
●【侮辱罪(刑法第231条)】
⇒拘留または科料(財産を強制的に徴収する刑罰のこと)。
「バカ」「愚図」などとけなしたり、
差別的用語で相手を侮辱したりした場合。
●【脅迫罪(刑法第222条)】
⇒2年以下の懲役または30万円以下の罰金。
被害者の身体や自由、名誉、財産などに危害を加えようとする言動
(脅し)をした場合。
●【暴行罪】(刑法第208条)
⇒2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留、もしくは科料。
身体的な暴力を振るった場合。
●【傷害罪(刑法第204条)】
⇒15年以下の懲役、または50万円以下の罰金。もしくは科料。
パワハラ行為により、被害者が身体的な外傷を負ったり、
精神病等の疾患を発症した場合(医師による診断書が必要)
刑法に触れるパワハラ行為A
また、パワハラというよりは“セクハラ”に該当する行為ですが、
以下のような例もあります。
●【強制わいせつ罪(刑法第176条)】
⇒6ヶ月以上10年以下の懲役。
暴行や脅迫などの手段で被害者に強引にキスをした場合。
あるいは胸・陰部などを触られた場合。
●【準強制わいせつ罪(刑法第178条)】
⇒6ヶ月以上10年以下の懲役。
泥酔など、心身喪失の状態で強引にキスをした場合や
胸・陰部を触られた場合。
●【強姦罪(刑法第177条)】
⇒3年以上の有期懲役。
暴行や脅迫により、本人の意思を無視して強引に性交した場合。
●【準強姦罪(刑法第178条)】
⇒3年以上の有期懲役。
泥酔などの心身喪失の状態で強引に性交した場合。
…このように、泥酔状態の時に受けたパワハラ&セクハラ行為でも、
刑法で裁くことが可能!
「やっぱり泣き寝入りしたくない!」
という方は、一度法律の専門家に相談してみましょう。