パワハラ110番

警察はパワハラ相談に応じてくれるの?

「車をぶつけられた!」
「財布を盗まれた!」
「いきなり殴られた!」
「痴漢に遭った!」

 

…そんな時、私たちがまず助けを求めるのは警察ですよね。
これらの被害と同様に、会社でのパワハラ行為だって
警察に訴えればなんとかしてもらえるのでは!?と思いませんか?

 

しかし、残念ながらパワハラ問題はそれほど簡単なものではないのです。
そこが、この問題の厄介なところなのです。

 

基本的に、警察のスタンスは“民事不介入”。つまり、
「市民同士のトラブルには口を突っ込みませんよ〜。
自分たちで解決してくださいね」
という立場なのです。

 

警察が手を貸してくれるのは、刑法に違反する事件のみ。
つまり、あなたが受けているパワハラ行為が
刑法に抵触しているものであることを証明できなければ、
警察は動いてくれないのです。

 

ですから、
「パワハラを受けているんです」と警察に相談に行ったところで
ムダ足に終わってしまう場合が多いというわけ。

 

これは、刑法の中にパワハラの項目がない以上、
どうしようもないことなのです。

刑法で罰することができるパワハラ行為もある!

パワハラ行為を直接罰することができる法律は今の日本にはありませんが、
パワハラ行為が刑法に抵触しているものであれば
警察に訴えることがあります。

 

代表的な例としては、刑法204条「傷害罪」が挙げられるでしょう。
これは例えば、パワハラ上司に殴る蹴るなどの暴行を受けて
怪我をした場合など。
このようなケースならば警察も動いてくれるハズです。

 

ただし、警察を動かすためには証拠が必要です。
病院の治療を受けた際には、必ず
医師の診断書をもらってくるようにしましょう。

 

また、陰湿な嫌がらせや罵倒などが原因で
うつ病などの精神疾患を発症した場合にも、
この「傷害罪」が適用されます。

 

この場合は、
「明らかに上司のパワハラ行為が原因だった」
ということを証明するのが難しいのが難点。

 

しかし、近くで見ていた人の証言や、
会話のやり取りを記録したレコーダー、
メールなどの履歴があれば証明することは可能です。

 

最後に、もうひとつ。刑法230条の「名誉毀損罪」をご紹介します。

 

これは、その名の通り“名誉を傷つける”行為のこと。
例えば、他の社員の目の前で
被害者の人格を否定するような発言を繰り返したり、
侮辱するような言動を執拗に繰り返すこと。
業務上の指導の範疇を明らかに越えた“嫌がらせ行為”を指します。

 

ただしこの場合は、被害者本人が
「名誉を毀損されました」と申し出ることが必要。
犯罪の被害者には、
「犯罪が実行された証拠を保存する」
という権利が認められていますので、
言われた言葉を日記に記録したり、
レコーダーに録音して残しておくと良いでしょう。

刑事告訴の手続きとは?

自分が受けているパワハラ行為が、
明らかに刑法に違反しているものであると確信できたなら、
警察に対して告訴する道を選ぶこともできます。
刑事訴訟法では次のように定められていますので、ご参考まで…

 

●刑事訴訟法第230条「告訴権者」
 犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。

 

●刑事訴訟法第241条「告訴・告発の方式」
 告訴又は告発は、書面又は口頭で
 検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。

 

 

告訴をする場合は、被害内容と罪状を記載した
告訴状を作成する必要があります。
書式はA4で、縦・横書きのどちらでもOK。

 

「いつ」「誰に」「どんな」パワハラを受けたのか
詳細な証拠が必要になります。

 

書き方の例としては、次のサイトが参考になると思います。
参考1
参考2
参考3

 

これを所轄の警察に提出すると、
数日以内に検察庁から呼び出しがあります。

 

…これらの手続きを全て1人で行うことももちろん可能ですが、
書類の書き方や検察からの質問への答え方など、
ネットでは分からない様々なコツがあります。

 

確実を期すためには、
やはり法律の専門家の力を借りるのが無難でしょう。

 

自治体によっては、
無料の法律相談窓口が設けられているところもありますので、
まずは相談してみてはいかがでしょうか。

 

ちなみに、刑事告訴の費用は
法律で20万円から50万円の間と定められています。
弁護士の力を借りたとしても、
法外な金額を請求されることはありませんのでご安心を☆