パワハラ110番

訴えたい!と思う相手、いますか?

職権を利用したイジメ、「パワハラ」が
社会的に認知されるようになって久しい昨今ですが、
みなさんは「訴えてやりたい!」と思うほど憎たらしい相手、いますか?

 

パワハラで優秀な人材をつぶしてしまう企業も多いようですが、
ここ数年は企業側も様々な対策に乗り出しているようですね。

 

ただ、パワハラそのものを罰する法律がない日本の現状では、
「これはパワハラだ!」と明確に判断する基準自体も曖昧なのです。
実際、「○○部長にパワハラを受けた」と会社側に訴えても、
「それは教育の一環だ」と諭されて結局泣き寝入りせざるを得なかった…
…という方も少なくないようです。

 

でも…。
「納得できない!」「それでは腹の虫が収まらない!」
と地団駄踏んでいる方も多いことでしょう。

 

そんな場合はどうすれば良いのでしょうか?

“訴える”ってどういうこと?

ドラマなどで、パワハラやセクハラを受けた人が
「訴えてやる!」って叫ぶシーン、目にしたことはありませんか?
そもそも、「訴える」って、どこの誰に訴えるということなのでしょうか。

 

「訴える」という言葉を国語辞典で調べてみると、
次のような記述が出てきます。

 

@「 物事の善悪、正邪の判定を求めて裁判所などの機関に申し出る。
 申し立てる。告訴する。「警察に―・える」」

 

A「有識者などに物事の是非の判断を求めて、申し出る」

 

B「他人の理解・同情・救いなどを強く期待して不満・不平・苦しみなど を言い知らせる」

 

C「強い手段を用いて事を解決しようとする」

 

D「感覚や感情に働きかける」

 

一言に「訴える」と言っても、シーンによって意味合いは異なるわけですね。
「パワハラを訴える」という場合には、一般的には
@の意味の「訴える」でしょう。つまり、
「裁判沙汰にしてやるぞ!」「慰謝料請求するぞ!」
といったニュアンスの意味合いです。

 

もし、本気で「憎たらしい上司を訴えてやりたい」という場合は、
都道府県の労働相談窓口、法律事務所など
「社外の」窓口を利用して相談することをオススメします。

 

社内に設置された相談室は、
会社の体裁のために設けられているケースも少なくありません。
パワハラという問題自体が新しいものであるため、
残念ながら本当に「使える」窓口を設置している会社はまだ一握りなのです。

パワハラを訴えることはできるのか?

既にご紹介した通り、現在の日本では、パワハラそのものを裁く法律はありません。
しかし、「民法上の不法行為責任」として慰謝料を請求することは可能です。

 

パワハラ行為に悩む会社員が増加するのに比例して、
加害者や会社を相手に訴えを起こす人も増えてくることが予想されます。
実際、各企業に設置された相談室では、2004年頃から
パワハラやセクハラ被害についての相談件数が増加しているといいます。

 

これを受けて、多くの企業では
パワハラやメンタルヘルスに関する研修を積極的に導入するようになったのだとか。

 

確かに、パワハラ問題は、場合によっては
会社のイメージを壊すことにもなり兼ねません。
同じ会社の中で、「訴えた」だの「訴えられた」だのと
ゴタゴタしているようでは、仕事にも差し支えますしね…(汗)。

 

ただ、「パワハラで訴えられるのが怖くて、若手に注意ができない」
…と悩む年配社員も増えているのだとか。
どこまでが「教育」で、どこからが「パワハラ」なのか…。
その線引き自体が、パワハラ問題解決のための一つの課題と言えるかもしれませんね。