パワハラ110番

これってパワハラ?判断に困ったら…

仕事でミスして仲間に迷惑をかけた。
「報告しろよ」と言われていたのに全く報告していなかった。
納期を勘違いしていた。取引先 とトラブった…。

 

こんな失敗をした時は、
上司に怒鳴られたって仕方ないと覚悟を決めるものでしょう。
むしろ、怒られないほうが気味が悪いくらいです。

 

しかし、何ら心当たりがないのに上司からの風当たりが強いとなると、
「一体なんで?」と納得がいきません。
あからさまに無視をされたり、
自分だけ必要な連絡事項が回ってこなかったり、
仕事を与えてもらえなかったり。

 

「もしかして、コレがパワハラってやつか…」
…そう思ったら、パワハラが成立するための要件を確認してみましょう。
要件とは、すなわち“判断基準”のこと。
「あなたがやっていることはパワハラだ!」と主張するためには、
次の4つの要件を満たしているかどうかを確認しておく必要があります。

 

【パワハラの要件】

 

@背景に、一定の社会環境内における“権力関係”があるかどうか。
(上司―部下の関係、発注先―発注元の関係など)

 

A本来の業務範囲(業務に付随する指導・命令等)を超えた
権力行使があるかどうか。

 

B問題とする行為が継続的に行われており、
人としての尊厳・人格を違法に侵害されているかどうか。

 

C問題の行為によって被害者の心身に著しい消耗が見られ、
雇用環境の悪化や今後の雇用に不安が生じているかどうか。

パワハラの成立要件を分析してみよう

パワハラが成立するためには、
4つの要件を全て満たすことが条件となります。
どれか一つでも欠けていれば、その行為はパワハラとは判断できません。

 

ここでは、この4つの要件のポイントを詳しくみていきましょう。

 

まず、一つ目の「権力関係」についてです。
この場合、「上司⇒部下」という上下関係だけに留まりません。
逆に部下⇒上司でのパワハラもあり得るということです。

 

例えば、IT業界について考えてみると分かりやすいでしょう。
IT関連では、どうしたって、年配の人が
若い人よりも知識や技術の面で遅れをとってしまう場合があります。
知識のない上司に対して部下が嫌がらせやいじめを行うという可能性は
十分あり得ます。

 

2つ目の「権力の行使」は、
仕事以外のことで不適切な指導や命令を行うこと。
例えば「お前なんていつでも辞めさせてやる」
「お前がいるから業績が伸びないんだ」
「お前なんか目ざわりだ」といった言葉の暴力。
直接的な暴力も含まれます。

 

3つ目は、パワハラ行為の頻度に関すること。
1度や2度怒鳴られただけではパワハラとは言えず、
その行為が日常的に・継続的に繰り返されているという点がポイントになります。

 

最後は、被害者の状態に関すること。
もし、要件1〜3に当てはまるパワハラ行為を受けていたとしても、
被害者自身が全く気にしておらず、心身にもなんら変化が認められない場合は
パワハラとして成立しないのです。

パワハラの対処法あれこれ

うすうす気づいてはいたけれど、
やっぱり自分は間違いなくパワハラの被害者だった!

 

…そんな時、どのようにして対処をしていったら良いのでしょう?

 

まずは、自分がパワハラを受けているという証拠を集めることです。
相談機関に相談するにも、証拠がなければ取り合ってはもらえません。
パワハラの成立要件を元に、
「いつ」「どこで」「誰に」「どういったパワハラ行為を受けたのか」
をわかりやすく整理してみましょう。

 

暴力を受けて怪我をした場合や、
精神疾患を発症してしまった場合などは
医師からの診断書が有力な証拠になると思います。

 

言葉や態度といった証拠に残りにくいパワハラ行為の場合は、
会話や電話のやりとりを録音した記録や、
メールの履歴などが役立つでしょう。
近くで見ていた同僚に証人になってもらうという手もあります。

 

これらの証拠をふまえて、相談機関に相談します。
相談先は、会社内の相談窓口でも構いませんし、
第三者機関を利用するという方法もあるでしょう。

 

会社側に相談しても何ら改善が見られない場合には、
刑法や民法の要件に基づいて相手や会社を訴えることも可能です。

 

順番としては、まずは内部機関への相談。
⇒改善が見られない場合は、
自治体が設置する労働相談の窓口などに相談しましょう。

 

無料で法律相談を受けることも可能です。