パワハラ110番

場合によっては立派な犯罪行為!

パワハラとは、職権などの権力(Power)などを盾にした嫌がらせやイジメのこと。
ちょっと難しく言うと、
「本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害し、
不法に精神的・肉体的な苦痛を与える」ことを言います。

 

そこで気になるのが、「パワハラは法律で裁けるのか?」
…ということ。
実は、パワハラについては、
真正面から対策を講じている法律がないというのが現状です。従って、
「そのパワハラ行為は民法上の不法行為にあたるかどうか?」
…が争点となります。
ちょっと曖昧で分かりづらいかもしれませんが…。

 

その行為が“正当な職務の範囲内”であればパワハラには相当しませんし、
“仕事にかこつけた常識外れの嫌がらせ”であればパワハラになるわけです。

 

パワハラが世間に認知されるようになってから歴史が浅いため、
損害賠償訴訟の判例もあまりないのが実情。

 

しかし、パワハラによる被害件数に比例して
世間の問題意識も高まりつつあります。

パワハラの加害者に課せられる責任

あなたが受けている行為が、“民法上の不法行為に当たる”
すなわちパワハラだと判断されれば、
加害者には損害賠償責任が発生します。

 

これがいわゆる、“慰謝料”ですね。
慰謝料なんて、ドラマや小説の中の話だと思っている方も多いと思いますが…。

 

いつ、自分がパワハラの被害者・加害者になるか分かりませんから、
慰謝料についてもしっかり知識を身につけておきましょう。
(くれぐれも、もらい損なうことがないように…!)
散々嫌な思いをさせられた上に、慰謝料までもらい損なったとなれば、
悔やんでも悔やみきれません。

 

いいですか?
パワハラの被害者は、
民法第709・710条「不法行為に基づく慰謝料請求」に従って
慰謝料を請求することができるんですよ!!

 

また、会社に対しても損害賠償請求(民法第715条「使用者責任」、
民法第719条「共同不法行為責任」、民法第415条「債務不履行」)ができるんです。
これは、
「会社は従業員を使って利益を得ているのだから、
従業員を使う事による不利益も負担しなさい」

…という発想に基づいているのだとか。

 

もし加害者である上司が破産状態ならば慰謝料はとれませんが、
こういった場合は同じ金額を会社に請求することができるのです。

 

また、会社には、
「安全配慮義務=雇い入れている従業員が安全に業務に従事できるように
するべき義務」

が課せられています。この義務を怠ると、債務不履行責任を問われることになるのです。

 

ただし、会社に対する損害賠償請求をしたために会社に居づらくなってしまい
転職したというケースも少なくありません。
専門家の意見も聞き、慎重に判断するのがベストです。

パワハラの慰謝料はケースバイケース

当然のことですが、パワハラ被害が深刻であればあるほど、
また、パワハラを受けた期間が長いほど慰謝料も高額になります。

 

さらに、加害者の社会的地位や収入が高ければ高いほど慰謝料も高額に!
(「ざまーみろ!」って思いませんか 笑?)
権力を盾に弱いものイジメしたんですから、当然の結果です。

 

ちなみに、会社側が加害者に対して注意を促したり
何らかの対策を講じたりした形跡がない場合も慰謝料が高くなります。

 

有利な条件で慰謝料を請求できるよう、
「いつから」「誰が」「どのくらいの頻度で」「どんな行為・言葉で」
パワハラを行っていたのか日頃から記録をつけておくよう癖づけておきましょう。

 

やられっぱなしは損!
苦しい状況でも、「正義は勝つ」と信じて賢く立ち回れる者が
最後に救われるのですから…。