パワハラ110番

面談が叱責の場に変わる

課長の言ったことは嘘ではないが、その前後の経緯(※)を知らないうえに、少々悪意に満ちたフィルターを通して私を見ているのではないかと思った。
※(@普段から下ネタばかり言う人であったが、宴席でも卑猥な冗談を言ったので私はふざけて「もうやだやめてくださいよ〜」という感じでその人の頭を叩いた。A社内で市民団体の活動ビラを配るような人で人事部の方でも問題視している社員だった。欝で長期欠勤している間、課長が心配そうに彼の自宅に電話をかけて容態を聞いていたことを知っていた。普段欠勤者には厳しい課長がなんで彼のことをそこまで心配するのだろうかと不思議に思っていて、ついそのことを他の社員の前で話したことがあった。)
当時の課長が不問に処してくれたこと、あるいは笑ってすませてくれたことまでどうして今になって叱責するのだろう。それに数年前のことまで持ち出して激怒するくらいならなぜその場、その時に注意してくれなかったのだろう、と思った。
一番我慢できなかったのはB(仕事面で)非協力的だったと言われたことだ。
この件に関しては双方で温度差や誤解があったように思う。
当初、面接の際に「クリーンルームでの仕事を覚える気はないのか?」と聞かれてもそこでの作業は自分には向かないのではないのかと思いこみ、曖昧に答えていた。その後、考えなおしてやはり仕事を選り好みするのはいいことではなかろうと思い、当時の工程責任者に話した。そうしたら「今はタイミング的に教育訓練が難しい。それに柳田さんは他分野(資材準備や文書作成など)で貢献してもらっているから。」とのことであった。
ちなみに逸脱対応時及び人手が足りない時に補助的な作業をする為にクリーンルームに入るように命じられたことも度々あり、当然それを拒否したことはない。
あと、私は休日出勤もシフト勤務も拒否したことはない。
包装工程の作業時間短縮のためにいろいろアイディアを出してそれが採用されたこと、手順書改定時には他の人が早く帰っても連日残業を続けたこと、生産トラブル対応の為に夜10時までの残業に応じたこと(車を所有していない為、深夜の帰宅は少々危険なのだが)などを思い出すと「皆が忙しい時に非協力的な態度をとりおって」とまで言われる筋合いはないと思った。
もうこの人には何を言っても無駄ではないかと思った。私は「もう…いいです…」と口走った。
課長「いったい何が『もういいです』なんだ?ううん?まだなんか不満げな顔してるな。本当ならもっと簡単に(ちょっと叱って)面接は終わるはずだったんだ。そっちが昔のことをほじくり返すからこっちも昔のことを持ち出して怒る破目になるんだ。」
(この間、「おまえは過去にこれだけの問題を起したのだから、普通だったら解雇されている。この会社においてもらってることを感謝しろ。だから俺には反抗するな。俺の気にいらんことは発言するな。」と言わんばかりの圧力を感じた。はっきり口に出してそう言われたわけではないが恫喝か恐喝されているかのような恐怖だった。)
課長「あと人の悪口は言うなよ。原田さんに『デブ』とか『デブだから動きが鈍い』とか言っただろう。(ちなみに私はそのようなことは言っていない。)女同士でもそんなこと言ったらセクハラだぞ!昔、阿部部長(後述参照)が「柳田さんは自分とは異質な人を排除する傾向がある」とか言ってたが、そういう悪い部分は直っていないようだな。」
「江川さんは柳田さんを上手く使っているようだな。手順書や標準書の改定を頼んだら、柳田さんは自分が指摘した箇所だけではなく、他の部分もよく見て間違いを修正して仕上げてくれたと言っていた。そういう良い部分は伸ばすように。」
散々なことを言われ続けたあとだったので、正直言って少し誉められてもうれしくともなんともなかった。こんな人に評価される為に仕事をしていたわけではない、私はただ私に出来ることを精一杯やっていただけだ。どうしようもないくらい気分が落ち込んだ。
しかし、その日は「自分にも問題があるから課長に叱責されるのだ」と考えて無理やり自分を納得させようとしていた。
昼食時になっても食欲はなかった。ほとんど何も食べられなかった。
昼食後、同僚の佐藤さん(今期忘年会の幹事)とすれ違った際、急で悪いが出席を取りやめたいと言った。酒の席でも課長と過ごすことが耐えられないと思ったからである。

 

 

※阿部部長のこと

 

私事だが入社2年目頃に離婚した。元夫との話し合いや手続き等の為に直属の上司に休暇を願い出た。その数日後だったと思う。
工場敷地内を歩行中、いきなり阿部部長から「やあ、柳田さん、離婚するんだって?」と声をかけられた。慶事ならともかくこれから離婚する人間に向かっていきなりその挨拶はないだろうと思った。
2課のSさん(独身の女子社員)のことを「あの人はお嫁に行った経験もないから何もわかってない」(記憶があいまいだが概ねそのような意味)と言ったこともある。
1課に在籍中、気管支炎を患い長期に渡って欠勤したことがある。その年の賞与の査定時には私のことを随分かばってくださったらしい。だから感謝はしていたが、上記の件と相まって、何やら微妙な感情を持っていた。

 

部長は私のことを「自分とは異質な人を排除しようとする」と言っていた。
その発言の真意がよくわからない。
部長のSさんに対する言葉こそ、自分とは異質なライフスタイルの人間に対する偏見ではないのか?
山崎課長も阿部部長の言葉を引用してまでいったい何が言いたかったのか?
こんな人達に仕事のことならともかく性格のことまで決め付けて欲しくはなかった。

 

 

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