パワハラ110番

ノルマに達しない社員は個室に呼び出される

毎月20日は成績の〆日ですが、ノルマに達しない社員は9階にある個室に個別で上司三人に呼び出されます。一人ずつ呼び出される成績不良者の表情は、まるで死刑台にでも登らされているかのように暗く、この個別呼び出しを受けた社員のすべてが、30万から21万への減給か自主退社をせまられ、拒否をすると「来月成績が不良の場合は、自ら辞職いたします」というような内容の、社長宛で約束する覚書を必ず書かされます。

 

退職や減給の迫り方も卑怯極まりないものですが、私たち営業が現場で良く使う第三者話法を用いた言い回しで、「他の社員はみんな自ら減給を申し出ているよ」「なぜ君だけが応じないのかなあ?おかしいと思わない?卑怯だと思わないのかなあ?」といって、他の社員が自ら責任を取ったという言葉を使って追いつめますが、これは全て虚偽で気の弱い社員を減給や退職に陥れる手口ですから、同じ成績やもしくは他の成績不良者よりも良い成績やこれまでの実績があったとしても、自ら申し出た減給・辞職という結果になってしまうのです。

 

この個別呼び出しの時の三人の上司は、怒鳴ったりは絶対にしないで、ひたすら自らの責任をどう考えているのかという言葉と、他のみんなはこうしているという虚偽の言葉を追い詰められた社員にゆっくり浴びせ続けますから、気の弱い社員はどうする事も出来ず、自ら不利な約束をしてしまうどころか、自分が悪いのだと言う自己否定の傷を深く刻まれて、毎月二人も三人も退社していくのです。

 

この執拗で陰険なハラスメント(いじめ・嫌がらせ)から逃れるためには契約を取ってくるしかないということになり、消費者を巻き込んだ違法な契約が次々と生み出され続けますが、家庭の生活を人質にとられるサラリーマンには、会社の違法行為に立ち向かうような姿は見られません。

 

ここまでの話での疑問点は2つあります。

 

1.なぜ、退職者は会社を訴えないのか
2.勤務年数1年にも満たない社員を次々と追いだす行為には全く生産性がなく、人件費や社員募集経費を捨てている行為でしかないのに、なぜ続けているのか

 

H23年7月 上司三人はさらなる強硬なパワハラを実行しました。
ほぼ全てのベテラン社員を1フロアに人事異動し、新人と中間社員を1係・2係に配置して、ベテラン社員15人ほどを3係としたあとの全体朝礼での社員全員のまえで「これからの会社の期待は1・2係にある、もうベテランには全く期待していない」と、3係に異動した社員を罵倒した後に、3係の社員だけを一人ずつ個別に呼び出し「月ノルマ6の他に、今まで解約になった累積件数を足した全ての数の契約を今月中に達成しなければ、責任を取って自ら去れ」という退職強要を行い、そのプライドを大きく傷つけました。

 

解約の累積を足した件数は20を超える社員がほとんどとなり、到底クリア出来ない無理なノルマを押しつけた事実上の退職強要でしたから、全てのベテラン社員が憤慨するどころか、私たち新人にも「この先この会社に生き残ってもいずれあのようになる」という絶望感を与える酷いパワハラ人事異動でした。

 

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