パワハラ110番

主張の正当性を判断してもらえる

パワハラの特徴は、
同じ行為であっても受ける人によってその感じ方が違うという点です。
そのため、Aさんにとっては「パワハラだ!」と思うことも、
Bさんは「こんなのは教育の延長だよね…」という程度で受け流しているかもしれません。

 

「あまりに些細なことで、パワハラだと騒ぐのは恥ずかしい」
「パワハラかもしれないけど、違うかもしれない。よく分からない」
…こういった理由で、口に出さず我慢している方も多いことでしょう。

 

つまり、パワハラの問題は当事者の認識・判断に左右される部分が大きく、
主張の正当性を客観的に判断するのが難しいのです。
このような理由で何の行動にも移せず、
「泣き寝入りして悔しさと恨みだけが残ってしまった」という話をよく耳にします。

 

その点、裁判は、パワハラ(かもしれない)事実を第三者から客観視してもらい、
それがどういう行為であるのかを判断してもらえるというメリットがあります。

 

また、裁判には、事実関係を細かく整理・確認し、検証していく作業が必要です。
こうした作業を重ねていくうちに、自分の主張が正しかったのか、
あるいは「やっぱりパワハラとは言えないのではないか」と再確認することができます。

 

当事者同士の話し合いだけでは、こうした境地に至るのは難しいでしょう。
裁判を通じて事実を客観視できるからこそ、
冷静な判断ができるようになるわけです。

この点が、パワハラで裁判を起こすメリットの一つと言えるでしょう。

白黒ハッキリさせることができる

裁判よりも低コストで、なおかつスピーディーに
労働紛争(パワハラなど)を解決できる方法として「労働審判」という選択肢があります。
これは、地方裁判所で行われるもので、月1回の「審理」と呼ばれる話し合いを、
最大3回まで繰り返して問題を解決するという制度です。

 

労働審判の場合、基本的なゴールは「両者の和解」であるため、
裁判のように「どちらが勝った・負けた」と白黒ハッキリさせるというよりは
第三者を仲介することによって「お互いの妥協点を探り出す」というイメージです。

 

しかし、裁判官からの調停案に同意できない場合には訴訟に発展することもあり、
問題の中身によっては最初から裁判にかけたほうが良い案件もあります。
そういう意味では、
「うやむやにならず、どっちが悪いのか、白黒ハッキリさせたい!」
…という方にとっては裁判のほうがメリットが大きいと言えるでしょう。
(ただし、費用も時間もかかります)

 

パワハラの事実を世間に公表できる

人間、誰しも心の中には
「やられたら、やりかえす」
という、一種の"復讐心"のようなものを秘めているものです。
ですから、
「自分は○○会社でこんなパワハラを受けていたんだ!」
「あの大手△△会社ではこんなパワハラが横行しているんだゾ」
…ということを世間に知らしめてやりたいという気持ちは
多かれ少なかれ持っているハズ。

 

しかし、労働審判においては、会社側との和解の際に
「パワハラの事実を公表しない」という条件をつけられることがあり、
公表することは禁じられています。

 

その点、裁判は、どこの企業で・どんなパワハラがあったのかが公になっていますよね。
パワハラ裁判の判例を探し出すのは難しいことではありません。
過去の事例から学ぼうと思えば、それがいとも簡単にできるのです。

 

パワハラの事実を公表し、
会社に・パワハラ上司に社会的制裁を与えることができる。

この点も、パワハラ裁判を起こすメリットの一つと言えるのではないでしょうか。