パワハラ110番

パワハラの被害は本当に増えているの?

セクハラやパワハラという言葉、
今では当たり前のように使われるようになりましたよね。
それだけ、セクハラやパワハラといった行為が
私たちの身近なところで頻繁に行われるようになった証拠…?

 

一昔前とは雇用の在り方も変化している昨今、
誰もが口を揃えて「パワハラ被害も増加している」と思いがちです。
しかし、実際のところはどうなんでしょうか?

 

実態を知る上で有効なツール、それはアンケートです。
アンケートは、無記名で個人を特定されることがないため、
回答者の本音を探ることができます。
これまで、いくつかの調査機関や企業が
パワハラに関するアンケート調査を行っていますが、
中でも特に参考になる結果をご紹介しましょう。

 

 

 

年代が上がるほど実体験率が上昇

nikkeiが実施したアンケートでは、回答者2618名の約40%が、
「職場にパワハラがある」と答えているようです。

 

また、50代の回答者のうち27.2%が
「実際にパワハラを体験したことがある」と回答!
長く勤めているからといって、
必ずしも「会社の居心地が良い」とは限らないんですね…。
雇用情勢が厳しいご時世、辛いパワハラを受けていても
「転職もままならない!」という方も多いのでしょう。
結果として心身を患い、休職を余儀なくされるケースも少なくないようです。

 

また、このアンケートでは、「自分がパワハラを受けた」というだけではなく、
「同僚や部下がパワハラを受けているのを目にしたことがある」
…と答えた人も26.7%に上ったそうです。
自分がいじめに遭うのはもちろん辛いですが、
人がいじめられている姿を見るのも心が苦しくなるものですよね。

 

「助けてあげたいけど、自分が口を出したら今度は自分もターゲットになるんじゃないか」
…そう思うと助け舟も出してあげられない。
そんな思いをされている方も多いのでしょう。

 

コレって、まさに子どもの“イジメ”と一緒!
子どもの世界も大人の世界も、
実はそんなに変わらないものなのかもしれません。

日本自治体労働組合総連合のアンケート結果

日本自治体労働組合総連合、通称「自治労連」とは、
簡単に言うと「労働者の生活と権利を守る活動を推進する」組織。
その名の通り、自治体ごとに活動を行っています。

 

この自治労連でも、2009年にパワハラに関するアンケートを実施しています。
主な内容としては、
「セクハラとパワハラの発生状況(被害および加害)」
「行ったのは誰か」
「被害にあったときの対応」
「相談体制」…など。
調査対象は6,101人で、そのうちの約15%が
「パワハラを受けたことがある」と回答したそうです。

 

また、「見聞きしたことがある」という人が17.2%、
「相談を受けたことがある」という人も3.2%おり、
パワハラ行為が多くの職場で深刻な問題になっている現実が明らかとなりました。

 

このアンケートでは、
「具体的にどんなパワハラを受けたのか?」
というところまで踏み込んで質問しており、
その回答としては
「人格否定」「差別的発言」「他の社員の前で怒鳴る」
…などが53.2%、
「有給を使うなどの正当な権利行使を認められなかった」
…が8.9%、
「暴力を受けた」「無視された」
などが8.8%となっています。

 

「相談できない」のはなぜ?

自治労連が実施したアンケート結果で興味深いのが、
「パワハラを受けた際、相談窓口が役に立った」
…と答えた人がわずか6.6%であるのに対して、
「役に立たなかった」と回答した人が31.1%にも上ったことです。

 

このことから、パワハラに対する有効な相談体制がまだまだ
整備されていないことが浮き彫りになったと言っても過言ではありません。

 

パワハラは、一人の人生を台無しにしてしまう卑劣な行為。
許されて良いハズがありません!
企業関係者、ならびに私たち一人一人も、
今以上に厳しい目で対処する必要があるのです。