パワハラ110番

“告発”と“告訴”は違うの?

会社での陰湿なパワハラ被害に対抗する最後の手段が、
“告発”“告訴”。
テレビや新聞でおなじみのキーワードですが、
実際はどのようなことを指すのかよく分からないという方も多いでしょう。

 

告発とは、犯人を除いた第三者が
「誰がどのような犯罪を犯したのか」という“犯罪事実”と、
「その相手を処罰してもらいたい」という意思を
警察や検察庁に対して申し出ることを意味します。

 

これに対して告訴は、被害者かその代理人が
犯罪の事実を警察や検察庁に申告すること。

 

つまり、被害者であろうがなかろうが、
「これは単なるパワハラではなく犯罪行為だ!」と思えば
誰でも警察に申し出ることができるということなんです。

 

告訴や告発の方法としては、書面又は口頭で行います。
その際のポイントは、次の6つ。

 

@ 誰が?(犯罪の主体)
A いつ?(犯罪が行われた日時)
B どこで?(犯罪が行われた場所)
C 誰に?(犯罪の客体)
D どのような方法で?(犯罪の手段・方法)
E 何をしたのか?(行為)

 

犯罪を行った相手の住所を管轄する警察や検察庁に提出しましょう。

内部告発とは?

“告発”という言葉の中には、
“刑事告発”“内部告発”が含まれています。

 

刑事告発については、前項でご紹介した通り。

 

これに対して内部告発とは、ある組織 の内部の人が、
その組織における不正行為や犯罪行為を
政府や報道機関に通報することを意味します。

 

例えば、職場でパワハラ行為があることを知った場合、
その事実を警察や新聞社などに通報する。

 

世間は大騒ぎになりますよね?

 

内部告発は、匿名で行うこともあれば
自分の素姓を明かした上で報酬を受け取ったりすることもあります。
後者の場合、会社側に告発がバレてしまうかもしれない…
という大きなリスクを背負うことになります。

 

会社内でパワハラがあったことを社外に告発したことが明らかになれば、
職場内の人間関係がギクシャクすることは避けられないでしょうし、
最悪の場合は解雇も覚悟しなくてはなりません。

 

告発するのであれば、
「たとえリスクを背負っても、正義を貫く!」
という覚悟で臨みましょう。

パワハラを告発して解雇になった例

パワハラを告発して解雇されるなんて、
「正義は勝つ!」と信じている人にとっては
納得できないことかもしれません。

 

しかし、職場でパワハラを受けていたことを告発した結果、
不当に解雇されてしまった…という事例が実際に存在するんです。

 

これは、カシオ計算機で起きた事件。
派遣労働者として約6年間勤務してきた女性が、
上司のパワハラ行為を派遣元に相談した結果、
「担当業務の縮小」を理由に解雇されてしまったのです。

 

正社員同様の仕事をしてきたにも関わらず、
結局は簡単に切られてしまった…。

 

女性は、カシオ計算機を相手取って
慰謝料約360万円の賠償などを求めて東京地裁に提訴しました。

 

間違った行為を「間違っている」と指摘したことで、
正しい人間が不利な立場に立たされてしまう…
これはいつの時代にも、どんな国にも存在すること。

 

理不尽だと思うかもしれませんが、
世の中そんなことの方が多いくらいなのです。

 

パワハラを告発しようと思うならば、
「絶対にパワハラを許さない!」
「パワハラを根絶してやる!」
…という強い意思を持ち続けることが大切です。