パワハラ110番

被害者のハズなのに、なぜ…?

言葉による暴力を与えられたり、
できもしない要求を突き付けられて精神的苦痛を与えられたり…。

 

毎日、会社に出勤するのが辛いという方も多いことでしょう。

 

パワハラはセクハラと違って被害を証明することが困難なため、
相手や会社を訴えたところでかえって被害者自身が
悔しい思いを強いられるケースも少なくありません。

 

例えば、パワハラ被害を受けていることを会社側に相談したことがキッカケで
左遷されたり解雇されたりするケースも…。

 

「普通は加害者のほうが解雇されるべきなのに、どうして!?」
って、納得いかないという方がほとんどではないでしょうか?

 

そもそも、労働者を解雇するには、
解雇せざるを得ないだけの理由や根拠が必要です。

 

「お前なんかいつでもクビに出来るんだぞ」
「別の仕事を探したほうが良いんじゃないの?」

 

…と、むやみに解雇を匂わせるような発言をすること自体が
すでにパワハラであると言っても過言ではありません。

 

パワハラ被害を訴えた労働者を、
「会社にとって不利益をもたらす人材だから」といった不当な理由で
解雇するなど、言語道断なのです。

“正義”は勝つ?

パワハラ被害を会社に訴えたことで解雇されてしまった人もいれば、
パワハラを受けていた人をかばったという罪で解雇されてしまう人もいます。

 

パワハラはセクハラに比べて裁判例がまだ少ないのですが、
被害者側が勝訴した例もあります。

 

パワハラによる解雇の場合、裁判では
「上司の言動が、裁量の範囲を逸脱していないか?」
…が重要なポイントとなります。
ここでは、具体的な例をご紹介しましょう。

パワハラ解雇例@ 〜骨髄移植推進財団〜

「天下りしてきた常務理事からパワハラを受けた」
…という被害報告書を理事長に提出した男性部長が、
「これは事実ではなく誹謗中傷だ」とされて
懲戒解雇を宣告されたという事例です。

 

訴状によれば、被害者男性は総務部長を務めており、
部下にとって働きやすい職場を目指すためにパワハラの被害を報告したのだとか。
部下をのために「良かれ」と思ってとった行動が
解雇されるきっかけになるなんて、とんでもない話ですよね!

 

もちろん、裁判は原告の勝訴。
解雇の無効と解雇以降の給与の支払いが命じられました。

パワハラ解雇例A〜在沖米軍基地〜

米国人上司からパワーハラスメントを受けた上、
不当に解雇させられたという事例です。

 

訴えを起こした元従業員の男性は、
2002年からキャンプ・フォスター内福利厚生部の車両修理部に勤務。
そこで、嫌がらせ行為や適切ではない業務指示に苦しめられたのだといいます。

 

そして2007年、「上司を脅迫した」などという
不当な理由で解雇されてしまったのです。

 

普天間の問題でも注目されている米軍基地ですが、
基地内で働く従業員の労働環境は決して良いとは言えないようです。
ここでも、アメリカの言いなりになっている日本の政治力の脆弱さが
浮き彫りになっていると言えるのではないでしょうか。

 

結局、
「いかなる理由があろうとも制裁解雇は解雇権の乱用である」
と解雇を無効とする判決が下され、
国側に解雇以降の給与の支払いが命じられました。

 

どんな特殊な職場であっても、
労働者の人権が無視されるようなことがあってはならないのです。