パワハラ110番

弁護士費用が不要な分、費用が安い!

パワハラで裁判を起こそうという場合、
素人が一人で戦おうと思っても限界があります。
裁判は原告側が「訴状」と呼ばれる書類を裁判所に
提出することから始まりますが、

 

「原告がどのような審判を求めているのか、
その請求内容の趣旨(支払い金額等) 、
そして上記請求の原因(理由)」

 

…を記載しなければなりません。
個人で作成することももちろん可能ですし、
「自分でできそう」と思われがちですが、実際に着手してみれば
そう簡単な作業ではないことがお分かりいただけると思います。

 

また、口頭弁論に進めば、
自分の主張を理路整然と述べることが求められます。
そのような点を、どのようにアピールすれば裁判官を納得させられるのか…。
この辺のテクニックを持った弁護士のチカラを借りなければ
勝訴は難しいでしょう。
(たとえ、明らかにパワハラ行為があったとしても)

 

その点、労働審判は、弁護士ナシでも十分に戦えます。
基本的には質問されたことに答えていくという進行形式なので、
弁が立つ人物でなくとも答えられるレベルです。

 

弁護士が不要ということは、費用の面でもメリットが大きいですよね。
一般的に、弁護士依頼費用の相場は以下のようになっていますので、
その分だけかかる必要を抑えられるというわけです。

 

【弁護士費用の相場(例)】
・相談: 約10,000円/時間〜
・内容証明郵便発送:約52,500円
・労働審判:約210,000円

 

労働審判の申立てにも費用がかかる

労働審判のメリットとして、
パワハラ裁判に比べると費用が安く済む
という点が挙げられます。

 

しかし、あくまでも「安く」なるというだけ。
全く費用が発生しないということではありませんので、
その点は誤解なきよう!

 

では、個人で労働審判を利用しようとする場合は
どの程度の費用を見込んでおいたら良いのでしょう?

 

ざっくりとまとめると…

 

・内容証明郵便発送:約2,000円
・労働審判申立て費用:請求金額によって変動

 

まず、「内容証明郵便」について。
これは、申立て書に添付する資料の一つです。

 

「○年○月○日に、AからB宛てに、このような内容の文書が差し出されましたよ」

 

…という事実を郵便局が証明してくれるシステムのことで、
@証拠を残す A相手に心理的圧迫を与える
B確定日付を得るといった意味があります。

 

例えば、支払われるべき退職金が支払われないという証拠を残すために、
退職金の請求書を内容証明で送ったり…といった方法で使われます。

 

発送する書類とそのコピー2部を郵便局へ提出すれば、
書類のコピーの一部に、

 

「この郵便物は○年○月○日第××号書留内容証明郵便物として
差し出したことを証明します。
郵便事業株式会社、郵便認証司」

 

という印鑑が押され、
コピーのもう一部は郵便局に証拠として保管されることになります。

 

もう一つ、「申立て」の費用について。
残念ながら(?)、労働審判の制度を利用するにはお金がかかります。
この金額は、どの労働審判で相手に請求する金額によって変わります。
(図を参照のこと)

 

生活費は大丈夫?

パワハラで労働審判を利用する場合、裁判よりもスピーディーとはいえ
最大で3カ月程度の時間がかかってしまいます。

 

もし、パワハラを理由にすでに会社を退職しているようであれば、
この期間中の生活にかかる費用のことも考えておく必要があるでしょう。
別の企業に再就職するにしても、
労働審判が終わるまではそちらに集中すべきですし、気持ちの上でも
「新しいところで頑張ろう」「仕事を覚えよう」という気にはなれないでしょうし…。

 

「パワハラが原因なら、すぐに失業保険がもらえるのでは?」
と思われるかもしれませんが、そもそもパワハラが横行するような会社です。
離職票を出してもらえないとか、
退職理由を「自己都合退職」にされてしまうとか
退職に当たってもどんな嫌がらせをされるか分かりませんよね。

 

こういった嫌がらせをされると手続きが滞り、
自己都合の退職ではないにも関わらず
失業保険の給付が遅れることがあります。

 

その点もよく考慮し、
最低でも3カ月は生活できるだけの費用を確保した上で
労働審判に踏み切ることをおススメします。