パワハラ110番

「労働審判制度」を知っていますか?

普通に平和な暮らしを送っていれば、
一生の中で裁判を起こすような事態に陥ることはほとんどない。
…誰もがそう思っていますよね!?

 

しかし、実際にパワハラの被害に遭っている今は、どうでしょう?
「アイツを訴えてやりたい!裁判でコテンパに打ちのめしてやりたい!!」
…そんな気持ちが芽生えているのではないでしょうか。

 

しかし、費用の面を考えれば、
「裁判は現実的ではない」と尻込みしてしまう方がほとんど。

 

そこでぜひ知って欲しいのが、「労働審判」という選択肢があることです。
おそらく、「なにそれ?」と思われる方が多いかもしれませんが、
これは労働者VS会社の労働問題を専門に扱っている制度であり、
ある意味ではパワハラ問題を解決するためにあるような制度です。

 

裁判よりもスピーディーに解決できる!

では、労働審判は裁判とどのように違うのでしょうか?

 

労働審判は、民事調停(話し合い)と訴訟(裁判)の中間に位置づけられる制度。
裁判官1名と労働関係に詳しい専門的な知識・経験を持った人2名でから成る
「労働審判委員会」によって事案を審理します。
裁判所公式HP参照)

 

 

裁判との最も大きな違いは、
解決までの時間が短く、展開がスピーディーであること!
というのも、「審理は最大3回まで」と決められているため。
全国で申し立てられた労働審判のうち、
約73%が3カ月以内に決着がついているそうです。

 

しかも、そのうちの69%が調停成立(和解)に達しているのだとか!
審判結果に不服ならば通常訴訟へ移ることも可能であるにも関わらず、
その道は選ばずに和解しているわけですから、
それだけ、「解決率が高い」ということですよね◎

 

パワハラの場合、会社側と正式な場で面と向かって話し合うことを希望しつつも
(要するに、「出るところに出て話し合いたい!」ということです)
それがなかなか叶わないケースも多い中、
労働審判であれば第三者の前で落ちついて話ができます。
(拒否した場合は罰則あり)
この点も、パワハラ被害者にとってはメリットの一つと言えるでしょう。

具体的にはどんな風に“審判”するの?

労働審判が、パワハラ問題をどのようにして審判していくのかというと…

 

まず、申立人(パワハラ被害者)・会社代表者・審判委員会の
合計5人が地方裁判所に集まってスタート。
審判委員会から、申立人が提出した申立書や証拠についての質問があります。

 

次に、上記の申立書に対して
会社側が提出した答弁書・証拠について質問があります。
審判委員会は、両者の言い分を比較し、矛盾点について再び質問します。

 

その後、申立人・会社側、それぞれの話を個別で聞く時間が設けられています。

 

1回の審理は、約2〜3時間。
これが1回/月ペースで最大3回繰り返され、
基本的には和解の方向へ持っていきます。

 

もし和解に至らない場合は、最終的に、法的効力をもった「審判」が下されます。
これが不服の場合は、異議を申し立てて通常訴訟へ…という流れですね。

 

審理期間は全国平均で72.9日、つまり約2カ月半。
全体の約73%は3カ月以内に決着がついているようです。

 

また、審理の結果、調停が成立して和解するケースは全体の約70%
残り約20%が審判に進み、そのうちの約半数が裁判に至るのだとか。

 

年単位で膨大な時間を要し、最後は泥沼も避けられない裁判に比べれば、
労働審判のほうが短時間で解決できることが多い分、後腐れもなさそうですね。
もともと、「不利な労働者の立場を改善しよう」
という目的で設けられた制度ですので、
労働者に有利な結果で終わるのが自然といえば自然かもしれませんね。