パワハラ110番

被害者も加害者もストレスフル!

「ストレス社会」という言葉、すっかり定着した感がありますよね。

 

現代人とストレスは切り離せないものであると言われています。
仕事、健康、人間関係…人は様々なことに対してストレスを感じ、
時には心身の健康状態を害してしまうこともあります。

 

…とはいえ、“ストレス”という言葉は本来、
決して悪い意味だけを含んでいる言葉ではありません。
ストレス、すなわち「外からの刺激」という概念を提唱したセリエ博士の言葉に
「ストレスは人生のスパイスである」
という有名なフレーズがありますが、まさにその通り!

 

ストレスがなさ過ぎると
人間の生産性は落ちてしまうことが分かっていますし、
メリハリのないつまらない人生になってしまいます。

 

つまり、心身共に健康で充実した毎日を送るためには、
極端な過不足のない“適度な”ストレスが必要だということなんです。

 

ところが、前述した通り、現代社会にあっては
そんな理想は夢のまた夢。
誰もが、仕事やプライベートのストレスを抱えてヘトヘトです。

 

職場における“嫌がらせ行為”であるパワハラも、
ストレスとの関係が非常に深い問題。
上からの無理な残業規制やノルマにイライラした上司が
部下に当たり散らし、そんな上司が原因で部下は心を病んでいく…。
こんな構図で起こるパワハラ事例も少なくないハズ。

 

ストレスでどうにかなってしまいそうなのは、
パワハラの被害者よりもむしろ加害者側なのかもしれません。
(そのとばっちりを受ける被害側はたまったもんではありません…)

会社の人間関係はストレスだらけ?

設定温度が低すぎるエアコン、動きが鈍いパソコン、
いつまで経っても終わらない夏…。

 

どんな些細なこともストレスになり得ますが、
やはり私たちを苦しめるストレッサー(ストレスを与える原因のこと)
No1といえば、やはり「人間関係」でしょう。

 

基本的に、人が人を変えることは非常に難しいことですので、
「この人とは合わないなあ〜」と思う相手に対しては
“自分の気持ちの持ちよう”を変えて付き合うしかありません。

 

特に仕事の場合は、嫌いだからといって
相手を避けるわけにもいきませんよね。
ここが、人間関係の厄介なところです。

 

ストレスは、ストレッサーがなくならない限り消えませんので、
嫌な人間関係が続く限り
ストレスを抱え続けていかなければならないということです。

 

相手がパワハラ上司である場合は、
なおさら心のダメージも大きくなるハズ!
職場でのパワハラが引き金となって
うつ病などの深刻な精神病を発症するケースが増えているのも、
結局は本人が感じる“ストレス”が原因なのです。

 

一方のパワハラ加害者側も、ある意味では被害者。
会社側の経営方針や業績に振り回されて、
自分が思っている以上にストレスをため込んでいる可能性があります。

 

そのため、自分が部下に対して行っている行為が
“パワハラ”であることに気付いていない場合も多いのです。

 

パワハラを行う側も受ける側も、
ココロの余裕を失っているという点では同じなのかもしれませんね…。

厚労省はパワハラによるストレスをどう考えているの?

「パワハラとストレスには密接な関係がある」
とご紹介しましたが、
どうやら厚生労働省の見解も同様のようです。

 

例えば、厚生省は労災認定を行う際に
「心理的負荷評価表」という基準を使用しますが、
これは職場の出来事から受けた“ストレスの強さ”を
客観的に評価するチェック表なんです。

 

例えば、2010年8月現在の基準としては、
パワハラ(=職権を背景とした嫌がらせ)は
「3=最も強いストレス」と評価されています。

 

他にも、「退職を強要された」といった出来事が
「3」に定義されていることから、厚生労働省が
「パワハラと考えられる言動=非常にストレスフルな出来事」
と認識していることが伺えます。

 

ちなみに、この基準が現在のような内容に改定されたのは2009年のこと。
10年ぶりに基準が見直されたというこの事実は、
すなわち、それだけパワハラの被害を
無視できない状況であったことを示しているのかもしれません。