パワハラ110番

上司のクビを願ったこと、ありませんか?

あなたの周りにはいませんか?
何かというと「お前なんか辞めちまえ!」
「お前程度のヤツなんていつでもクビにできるんだぞ」
「この仕事、向いてないんじゃないか?」…などとクビをほのめかす上司!

 

クビにされるほどの客観的な理由が無いにも関わらずクビをほのめかす行為は、
立派なパワハラです。
中には、このようなパワハラ発言で徐々に部下を追い詰め、
自発的な退職に誘導する上司も…。

 

会社側の事情でクビにしたとなると
会社側は解雇予告手当を支給する義務がありますが、
労働者側が自発的に退職を申し出た場合は
この手当を支払う必要がないからです。

 

こんな陰湿な嫌がらせでリストラを行う企業も存在しているというから、思わず呆れてしまいますよね(汗)。
パワハラを受ける側からしてみれば、
「そういうお前こそクビにしてやりたいよ!」
という気持ちでしょう。

 

パワハラで休職に追い込まれたり、
不本意な退職を余儀なくされたりする労働者が増えている昨今では、
上司のクビを心から願っている人も少なくないハズです

パワハラ上司をクビにするのは簡単?

社内でのパワハラが発覚した場合、
会社側の担当者はまず、事実関係の調査から始めます。

 

一口にパワハラと言っても、上司にしてみれば
「教育を熱心にし過ぎた」ということだったんかもしれません。

 

会社側のスタンスとしては、100%被害者側を味方するのではなく、
双方の言い分を公平な立場で判断する必要があるのです。

 

その際、メールのやりとりのチェックを始め、
同じ部署のメンバーや
パワハラの現場を目撃した同僚へのヒアリングなども行われます。

 

これらの結果を踏まえて、
「パワハラがあったのかどうか」を総合的に判断するのです。

 

従って、「パワハラを受けました!」と会社側に申し出れば
すぐに相手の上司をクビにできるかといえばそうではありません。
判断は、会社側に委ねられている部分が大きいのです。

 

そう。パワハラ問題の解決には、長期戦で臨む覚悟が必要なのです。

パワハラは会社の責任でもある

会社側による調査の結果、
「上司Aの発言はパワハラだ」と判断されたとしても、
会社側がその上司をすぐにクビにするのは現実的に難しいでしょう。

 

なぜなら、パワハラは個人の問題ではなく会社の問題だからです。
仮に、会社側がこの上司にクビ=懲戒解雇を言い渡したとしても、
裁判に持ち込まれた場合、裁判所は
「会社がパワハラを放置していたことにも責任がある」
「会社側の体質に問題がある」
…という理由から解雇を無効する判決を下す可能性があるからです。

 

そのため会社では、問題の上司が
パワハラ行為を行っていたと判明した場合でも、
クビにせずに“左遷”したり、管理職のポストから外したり
…といった処分に留める場合が多いようです。

 

(※ただし、これらの処分は各企業の規定によっても異なりますので、
一概には言いきれません)

 

また、会社の方針とは関係なく個人が行ったパワハラ行為であっても、
業務上の嫌がらせ行為であれば会社が責任を負うことになります。

 

例えば、パワハラ被害を受けていた被害者がうつ病になり、
仕事が出来なくなった場合。
被害者は、会社とパワハラ上司に対して年収の数年分を請求することができます。

 

つまり、会社側は、パワハラを行った上司に対しても
被害を受けた部下に対しても責任を負わなければならないということ!

 

ともすれば「パワハラをした上司をクビにすれば良いのに」
と思われがちですが、そんな簡単な問題ではないんですね…。