パワハラ110番

「おい、お前」って呼ばれたこと、ありますか?

サラリーマンの悩みの中で首位に立つのは、
なんといっても職場の人間関係ではないでしょうか。
とりわけ、つき合いにくい上司との関係に手を焼いているという方も多いでしょう。

 

「パワハラ被害を受けている」という深刻なケースも少なくありません。
パワハラは、会社組織の規範や慣習、または職権という
“権力=Power”を利用した“嫌がらせ行為”
パワハラ被害を受けた人の精神的なショックは非常に大きく、
うつ病などの精神疾患を発症することも少なくありません。

 

加害者本人は「部下を教育するための指導に一つだ」と主張することが多く、
実際、加害者には「嫌がらせをした」という自覚がないことが多いため、
被害者が泣き寝入りせざるを得ない事例も多いのです。

 

例えばあなたは、会社の上司に
「おい、お前」なんて呼ばれていませんか?

 

呼ばれると、上司怖さに「はいっ」なんて威勢の良い返事を返しているかもしれませんが、
この「お前」呼ばわりも場合によってはパワハラになるんですよ!

 

だって、ちょっと考えてみてください。
奥さんでもないのに、「お前」ってあんまりだと思いませんか?

 

…このように、普段当たり前のように受け流している言動を
よくよく見直してみることは、
パワハラを発見する良いキッカケの一つとなるでしょう。

パワハラ上司にご用心★

他人を「お前」呼ばわりする上司は、
往々にして“パワハラ型上司”であるもの。
「お前」呼ばわりする以外にも、こんな特徴、ありませんか?

 

●なにかというと罵声や怒号を浴びせる

 

●無理なノルマを課す

 

●理不尽な評価を下される

 

●言葉の暴力が絶えない

 

●自分の機嫌によって人に対する評価がコロコロ変わる

 

●「俺が若かった頃は…」が口癖

 

 

このタイプは、自分に甘く他人に厳しい人も多いでしょう。
無理な仕事を押しつけておきながら、
「お前の能力がないからできないのだ」と、
相談に耳を傾けてくれないという上司も…。

 

そもそも「お前」などと相手を見下すような言葉は、
あなたがその言葉に対して不愉快に感じているのであれば
文句なしでパワハラに当てはまります。

 

しかし、“パワハラ”という言葉自体の定義があいまいなうえに、
関連する法律の線引きが明確でない現状では、たとえ裁判に持ち込んだとしても
被害者に有利な形に持っていくのが困難であるケースも多いようです。

 

そのため、もしも「パワハラを受けている」という自覚があるのならば、
日頃から上司の発言を記録しておくことが大切。
ICリコーダーでも、日記でも構いません。

 

また、「自分以外の人にとってその上司がどんな存在なのか?」を知るためにも、
第三者の意見を収集することも大切です。

 

「お前」呼ばわりされるような扱いを受けているのがあなただけだということであれば、
それもパワハラの証拠となり得るでしょうし、
他の人にもパワハラ行為を働いているのであれば、
集団で会社に訴えるという手もあります。

 

「お前なんかいらない」〜2009年 佐川急便の例〜

パワハラによって精神的ストレスを受け、
自殺に追い込まれるケースも少なくありません。

 

例えば、上司から受けた「お前なんかいらない」という言葉をきっかけに
男性が自殺してしまった佐川急便の例。
この店舗(新潟のようです)では、
以前から執拗なパワハラが行われていたと証言する声もあります。

 

亡くなった方は係長の職に就いていたようですが、毎朝の朝礼で
「数字を上げられないお前は係長でも何でもねえ」
…などと部下の前で激しく罵倒されていたのだとか。

 

出席簿から名前を消されるなどの嫌がらせも受けており、
「お前なんかいらないから行ってこい」と、
新人研修に2度も参加させられたのだといいます。

 

亡くなった男性は、係長に昇格後もほとんど休みがなく、
1日20時間近く働く日もあったそうです。
その上、毎日繰り返される上司からのパワハラ。
数十万円の飲食代を支払わされたという情報もあります。

 

このようなパワハラ被害を未然に防げなかったのは、
企業の在り方自体に問題があるのではないでしょうか。
単に、パワハラを行った当事者に責任があるという簡単な問題ではないハズです。

 

集荷のノルマ制、セールスドライバーの労働環境など、
抜本的な見直しを図る良い機会だといえるでしょう。